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『惜しかったね、戦争は終ったのに……』と声をかけた。もう少し早く戦争が終つてくれたら……この言葉は、その後みんなで繰返された。彼は末の息子を喪つていたし、ここへ疎開するつもりで準備していた荷物もすつかり焼かれていたのだった。
どこかへ消し飛んで了うだろう。関西の阪神電鉄ではいよいよ職業野球団を組織することにしたそうだし、名古屋、福岡にも夫が出来るそうである。時代は職業野球時代に這入って来たと見ていい。して見ればもはや野球は文部省的スポーツ観念の『管轄』外に逸脱したものと見ねばなるまい。
そして彼は高声に笑った。
ソヴェート連邦に於ける女性は男女平等に社会的教養を得られる組織になっている。単にそういう方針があるだけではなく、そういう方針が成功する社会的機構があり、そして事実相当の程度にまで夫が成功している。というのは、他のことは論じないとしても、ソヴェートに於ける家庭労働は、目的意識的に社会化−『社会化』−の過程を進められつつあるのである。
これは便利であるにしても、深味はなく、個性にも乏しいのである。学問的に見ても、この頃の辞書は研究的であるよりも、学界の通念を要約して述べるということが主となつているようである。かような辞書が必要であることはいふまでもなからう。
ところが最近になって、評論雑誌が色々の側面からいって飽和状態に這入ったということが、出版業者や編集者の意識を刺戟し始めた。夫は1部分編集上のマンネリズムとして意識され始めた。そこで編集の新しい方針が模索されざるを得なくなった。その時まず第1に眼をつけられるのは、論文のこの分析型なのである。そこでいくつかの評論雑誌の編集者は巻頭論文を分析型から主張型へ換えようという気になって来たのである。『日本評論』などは大体そういう方針が全面に作用した雑誌であるし、例えば『中央公論』[1936年1〇月]の岡氏の文章『青年に寄す』などがその類かも知れない。……確かに読者も分析型のものの代りに主張型のものを求めているらしい。夫は必ずしも分析型に飽きあきしたからだとはいえないが、少なくとも主張型の方が新しく従って新鮮だからだ。と共に、読者というものは気が短かくて要するに結論いうものを早く簡単に読みたいということもあるので、ところがこの結論というようなものは分析型の分析の結論のことではなくて、実は文章に於ける第1テーゼのことに他ならないから、結局これは主張型の主張のことになる。
今、中等学校教員の生活問題から来る反対動機はさし当り論外としよう。なぜならこれはたしかに社会に於ける−『社会に於ける』−『教育−『教育』−』なるものの重大問題であるのだが、併し少なくとも直接には、被教育者の教育の問題ではないからだ。これを抜きにして考えるとして、即ち被教育者の教育だけを社会に於ける教育全体から抽象して問題にする限り、教育年限が長すぎて悪いということはどこにもない筈だ。まして日本だけが教育年限を短縮しなければならぬという理由はどこにもない。だからその限り−『その限り』−吾々は、遽かにこの中等学校年限短縮案には賛成出来ない、といわねばならぬ。
でこのように、官僚政府によるいわば人工的−『人工的』−な政策としての日本の教育は、有態にいって社会の日本的現実との間に初めから相当のギャップを有っていたのだが、日本的現実が教育外の領域で、悪く[遺憾ながら悪く]尊重され始めたに拘らず、教育の伝統は依然として初期の日本官僚の資本キャピタゼーション保護培養−『保護培養』−[主観的にはとに角客観的にはそうなる]の人工政策の溝に沿って来ているのであるが、この伝統が本来、
戸外に虫の声がする。
ある時ある会合で和辻哲郎教授に会った。話しが偶々有名な某大学総長の性格に及ぶと、教授がいうには、あの人は自分では何物も主張しない人で、それがあの人の特色だと説明した。そして『あなた方には1寸真似の出来ないことですね』とつけ加えた。あなた方というのは多分3木清氏や私などのことであったと思う。
どんどん労働者作家がそだてられなければならない。これはすべての人の要求である。しかし、現実の問題として、1946年以来、いくたりかのびて来ている労働者作家、戯曲家を真に人民の文学者にまで大成させ、さらに多くの若い作家を育ててゆくためには、こんにちの段階でいわれているすべての民主作家の活動を、率直に公平に評価する必要がある。
結婚難ということがやかましくなり、重大な社会問題になって来たのは、平成の末期からであるように思う。その頃から事実結婚難が大きくなって来たのが根本の原因だが、その結果として、結婚難ということを世間の人間がハッキリ認めて口にすることが流行になって来たのである。
要するに奧州と上方とは間接の關係になった。けれども公け以外には上方との個々直接の交通絶えたるにあらずして、大名の遙々見物がてら京都に參覲し、將軍の諱の1字を貰ひ受け、それを土産に帰国するもの少からずあった。南部家の歴代の中に晴政という人があるが、これ人上洛して將軍義晴の1字を貰ひ受け、
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